こんにちは。生涯学習支援カルチャースクール『エデュカーレ』代表の白石です。
今回はエデュカーレでもよく言葉として出させていただいている”遊び”というキーワードについて深く掘り下げていければと思います。
遊びといっても、現代では多種多様な遊びが存在しています。
現代的な遊びであれば、ゲームや、テレビ、スマートフォンを使ったアプリなど非常に様々な選択肢があり、どれも子どもを夢中にさせます。
こういったものを長時間行うことに関して基本的にはあまりよくないという印象を皆様持たれるかと思いますが、どうしてよくないのかをしっかりと言葉にするのは難しいですね。
こういった遊びばかりになりすぎるのはどうしていけないのか、またどうしてこういった遊びに子どもが夢中になりすぎてしまうのか、子どもの成長発達にとって効果的なのはどのような遊びなのか、この3点に関して私なりの意見を発信したいと思います。
目次
1.ゲームやスマホばかりはなぜいけないのか?
ゲームやスマートフォンなどで幼児のうちに慣れ親しむ子が多くなっており、子守をやってくれるアプリまで登場しています。
時代が進んだことで、遊びや子育ての有り様も変わったのだ、と言ってしまえばそれまでなのですが、幼いころからこういったものばかりに触れる生活になってしまうのはその子のその後の人格形成にも大きく影響が出てきます。
最近の脳科学の研究で、社会性、理性を司る部分、前頭前野と呼ばれる部分の発達が、人格形成や知性形成に重要な影響があることがわかってきました。
(出典:岩手医師会『脳の発達とスマホ』)
前頭前野が言語的知性、論理数学的知性、絵画的知性、音楽的知性など、人間のさまざまな基本的な知性を統合する機能をもつ部位です。
この前頭前野がどのようなときに活発に活動するかというと、まさに遊んでいるときなのです。”遊び”の中で、子どもが自分の五感をフルに使って、自由に創作したり判断したりしていることが、前頭前野への刺激になっているのです。
しかし、一方でスマートフォンやゲームなどのITメディアを使った遊びに関しては、この前頭前野があまり刺激されていないという研究結果がでています。
これに関しては明確な答えが出ているわけではないですが、個人的に大きな理由が二つあるのではないかと考えています。
1つはスマートフォンやゲームなどの遊びは、ほぼ完成されたものであるため、子どもが創作や自由な判断を行う瞬間が少ないということ
2つ目は、画面内に情報がすべてそろっているため、視覚以外の感覚があまり刺激されていないということ
こういった事が原因となっているのではないかと思っています。
じゃあ、スマートフォンやテレビゲームは悪いものだからやらせるな、ということを言いたいわけではありません。
ただ、脳がもっとも急激に変化する感受性期、8歳ぐらいまでの間に、人格形成や知性形成の基礎が作られていきますので、それまでにたくさんの前頭前野が刺激されるような”遊び”体験をすることが非常に大切であるということは間違いないと思います。
(参考文献:Chilid Reserch Net:最新の脳科学は、子ども観をどう変えたのか)
2.どうしてこういった遊びに子供が夢中になりすぎてしまうのか
子どもにゲームを初めて与えたときに、親が恐ろしくなるほど夢中になってしまい、それを止めようとすると、子どもが予想以上にイライラした様子をみせたという経験はないでしょうか。
これは、ゲームやネットをやっている最中、前頭前野の働きが低下し、欲望を司る大脳辺縁系の働きが強くなるためだといわれています。
報酬欲求を促すドーパミン系が精製され、もっともっとやりたいという欲求が強まり、やめられなくなってしまいます。そして、大脳辺縁系が優位に働いている状態だと罰に対して強い不快感を示すため、今までに見たことがないような苛立ちを見せるというのが、脳科学的に見た子どもがゲームに夢中になりすぎてしまう理由となります。
(出典:conocoto:子どものネット依存(3)脳研究)
大人であれば、そういった欲望を抑制する前頭前野が歯止めをかけるのですが、これから前頭前野が育っていくという子どもには残念ながらその機能は備わっていません。
このことから、ゲーム、スマホで遊ぶにしても、少なくとも8歳くらいまでに前述したように前頭前野を発達させるような経験をたくさんして、人格形成、知性形成の基礎を作ってからでないと、子どもの発達に影響が出るということがわかっていただけるかと思います。
3.前頭前野を育てる遊びとは?エデュカーレで実践している”可塑性のある遊び”
前頭前野を発達させるような遊びをやればいいのはわかったけど具体的にどんなものがあるんだ、というのが気になるところだと思います。
エデュカーレでは、お子様の創意工夫が刺激されやすいよう、”可塑性のある遊び”というものを講座内で行っております。
可塑性とは、辞書的な意味で言えば、物体に変化を加えたときにその加えた圧力によって歪みがそのまま残る性質のことをいいます。
例えば、粘土は代表的で、圧力を加えると自分の思うがままに変化し、元に戻すことも簡単にできるため、子どもの創造力ひとつでなんにでも変えることができるというのが非常に魅力です。
こういった”可塑性の遊び”をいくつか紹介したいと思います。
<新聞やぶり>
新聞やぶりは、ばりばりと破いた後に、破いた後の紙が何に見えるかを見立てて考える見立て遊びです。最後には破った紙片を集めてくしゃっと丸め、ボールにして遊ぶこともできます。ここで重要なのは見立て遊びが楽しい子もいれば、新聞を破るのが楽しい子もいることで、どの部分に子どもが面白味を感じているかによってアプローチがかわってくる、遊びそのものが変化していくことも非常に大切です。
<絵具につけたビー玉絵>
絵具をつけたビー玉で転がしながら絵を描きます。ゆっくり転がして、できるだけ自分の思うように描こうとする子、自由に玉が転がるのに任せて勢いよく描く子、いろいろいるかと思います。どれも正解ですので、子どもが思うとおりにできたことを見てあげるだけで十分かと思います。
4.さいごに
いかがだったでしょうか。コロナウィルスの影響でお子様と触れ合う時間が長いご家庭も多くなっているかと思います。
ゲームばかり、スマホばかりになっている場合は、上にあげたような遊びをご家庭でも取りいれてみてはいかがでしょうか。