こんにちは。生涯学習支援カルチャースクール『エデュカーレ』代表の白石です。
今回は幼児教育に関する子どもの図形認知能力の重要性についての情報を発信していければと思います。
子どもの中にも、問題なく考える力が育った子でも、小学校に入った途端、読み書きが苦手、読み書きが苦手なので計算も苦手、というような流れで勉強が嫌いになってしまう子どももいます。
また、本、特に物語や小説をを読んでいるときに、情景や人物などが頭に思い浮かばないという人は、大人でもいます。
こういった子は、まず土台としての図形を識別するための力、図形の認知能力が磨かれていないことが多いのです。
今回は、そんな図形認知能力について、ある程度掘り下げながらエデュカーレでも実践しているご家庭でもできる遊びを紹介していきたいと思います。
目次
- 1.環境によって視覚の認知機能に大きな変化が出る。猫を使った実験から
- 2.読み書きが苦手な子はもう手遅れ?図形認知が改善する教材
- 3.エデュカーレで実践している家でもできる図形認知力を育てる遊び
- 4.さいごに
1.環境によって視覚の認知機能に大きな変化が出る。猫を使った実験から
視覚からの情報を受け取り認知するための脳の機能は、ネコやサルの場合、生後数カ月、人では2~3年で形作られていくといわれています。
それに関連した実験を紹介したいと思います。
(出典:脳の世界「サルの視覚野」)
この実験は、子ネコを出生直後から数ヶ月縦縞模様だけしか見えない環境で飼育するというものです。そうすると、横縞に反応する細胞がほとんど無くなります。このような環境で育てたネコは縦棒を見せるとじゃれついてきますが、横棒を見せてもじゃれついてきません。
ネコであれば、生後数カ月、人であれば、2~3年の間にこういった基本図形の認知のための脳が発達します。
その間にこのネコのように、色々な図形と触れ合う機会がないと、脳がそれを認知できなくなってしまいます。
読み書きが苦手な子は、こういった年代での経験が大きく影響している可能性はあるかと思います。
2.読み書きが苦手な子はもう手遅れ?図形認知が改善する教材
生後3歳までに身につけないといけないなんて、うちの子はもう間に合わないの?と
思われた方、大丈夫です。
3歳までの間が、大きく脳の機能が発達する時期だというだけで、その後にやってもまったく効果がないというわけではなく、やっていくうちに改善していきます。
私も、読み書きが苦手な中学生の子を受け持った時に、授業の最初5分ほど図形認知のプリントに取り組んでもらったところ、段々と改善していったという経験があります。
じゃあ、その時にやっていたプリントってどんなものだったの?と皆さん気になるかと思いますので紹介したいと思います。
<点描写>
点をつないで、お手本通りの形に作ります。えっ、小学生、中学生には簡単すぎじゃないと思われるかもしれませんが、図形を形作る線を徐々に認知できるようになるのに、非常に有効で、まずはここから始めることをおすすめしています。縦線、横線がしっかりまっすぐと書けるようになり、次に斜め線が苦労しながらも段々と滑らかに書けるようになると認知の力もだんだんと改善してくるかと思います。
<図形記憶>
まず見本を10秒ほどみて、記憶してもらい、そのあと、見本を見ずに見本通りの配置を書いていくプリントです。
一か所だけを記憶するのではなく、全体を見ながら、図形の関連を記憶していくことが重要で、図形の識別、全体把握の力を底上げできるところが非常に良いところかと思います。
3.エデュカーレで実践している家でもできる図形認知能力を育てる遊び
エデュカーレでは、年齢に合わせてさまざまな図形認知能力を伸ばす遊びを取り入れています。ご家庭でもできる簡単なものもありますのでぜひお子様と一緒に取り組んでみてください。
積み木遊び(0歳~3歳)
立体図形を見たり、触ったりする経験はとても重要です。四角柱と三角柱の組み合わせで家が作れるのだとか、円柱が煙突みたい、とかそういったことに無意識に気づき、遊んでいくことで自然と認知能力は向上していきます。
幾何学プレートパズル(5歳)
こういった幾何学パズルに触れることで、三角形の種類によっての角度の斜め具合の違いや、図形の組み合わせでどのような図形が組みあがるかを自然と学ぶことができます。
4.さいごに
最近の読書習慣の調査では、20代の約半分以上が「まったく読まない」と回答していました。
読書習慣が身につかない原因の一つに今回お話ししたような図形認知の力が関わっていると感じております。
そもそも活字を読んでいても、頭に情景やらがまったく思い浮かばなければ、読書しようという気が起きないでしょう。
まず、読め読めという前に、頭の中で登場人物が描画できるような下地作りが大事だということです。
年齢がある程度いってしまってからでも、こういった図形認知の力を高めることは可能ですが、3~8歳までの大きく脳の働きが成長するときに高めていくことと比べると、どうしても時間がかかってしまいます。
そういう意味でも、早い段階で色々な図形に触れる機会を作ってあげることをご家庭の中でも意識してみてはいかがでしょうか。